甲州弁で昔話
2010.02.17 21:12 投稿者:ぶどうおばさん

今日は北公民館で女性学級合同学習会として
「甲州弁で語るむかしばなし」の催しがありました。
一般の人も聴講可だったので私も聴きに行きました。
山梨昔がたりの会の会員3名による演題は
湯村温泉の話
かっぱのきず薬
じいさんいるけ
つるとかめ
かみず
おんちょろちょろの穴のぞき
旅学問
話好きな殿様
嫁と姑 です。
話し始めに語り手が「おっぱじめるけんどようごいすけ?」と客席に問うと「ようごい
すよ!」と客席が答えるというルールで、普段しゃべらない甲州弁を大きな声で言う事
に気恥ずかしさやためらいを感じていた人々も甲州弁の持つ親近感や率直さにつられ、
またたく間に会場はリラックスした雰囲気に包まれました。
『湯村温泉の話』は、武士と天狗が湯村の湯で湯治し、評判通りのいい湯だと感心しな
がら傷を治したという内容で「〜っちゅう話でごんすよ」と話が締めくくられると笑い
が起こります。
『かっぱのきず薬』は韮崎の昔話で、馬の尻尾に腕をからめとられたかっぱが夜訪れて
来て「おんの腕だ。けえしてもらいに来た」「けえしとくんなって」と頼み、代わりに
何にでも効くきず薬の作り方を教えた、という話です。甲州弁の話し言葉は何とも親し
みが有ってそのおかげで情景がありありと浮かびます。
『つるとかめ』は山形の昔話で、つるとかめが夫婦になったがしばらくするとかめ(
夫)がつる(妻)に「別れてくりょう」と言った。妻が理由を問うと鶴は千年亀は万年
生きると言われているのでお前(妻)が死んだ後自分(夫)は九千年も一人で生きなく
てはならない。やはりつるはつる同士かめはかめ同士で結婚するのがいい、と答えたと
いうストーリーです。語り手の巧みさもさることながら、非常に含蓄の深い話だと思い
ました。
最後の演題『嫁と姑』は上九一色村の昔話で、嫁と仲の良くない姑が医者に毒薬をくれ
と頼んだので医者は嫁に悟られぬよう機嫌よく嫁に接し毎日飲ませるよう姑に指示し白
い粉薬を渡した。薬を飲みきっても嫁は元気なので姑が医者に相談すると今度は2倍の
量を飲ませるようにと同じ粉薬を処方してくれた。くれぐれも相手に悟られぬよう一層
機嫌良く優しく接しおかずも美味しいものを作ってやるように、と指示されたのでそれ
を守った。気付くといつのまにか嫁も姑に対してニコニコして優しくなり、姑は嫁を死
なせてはいけないと思うようになった。医者に毒消しをもらいに行き、今まで処方され
ていた白い粉薬はうどん粉だった事を知る、というストーリーです。
昔話には人生の深淵をのぞいているような真実味があるように思います。
何年か前ブームになった「ほんとうは怖いグリム童話」や現在教育TVで放送している
”「怖い絵」で人間を読む”で取り上げられているように、人の営みには闇の部分が有
って憎悪•羨望•嫉妬•野心が渦巻いているようです。日本の昔話は、そういうダーク
サイドを含みつつも明るく前向きに人生を肯定するひたむきさに満ちているように思
います。それらが甲州の方言である甲州弁で語られる時はなおさら、山梨県民の一人
としては直接心に響くものを感じます。
昨年県内では「キャンユースピーク甲州弁?」という本がベストセラーだったそうです
。私も友人に薦められお借りし読みました。4コマ漫画やクイズ形式も有って甲州弁に
ついて分かり易く書かれています。自分の記憶と意味や使い方が違う言葉も有ることに
気づいたり、甲州弁が標準語より優れている言いまわしもあることを知ったりで、興味
深く一気に読み終えてしまいました。
この本は現在甲府市立図書館のおすすめ本紹介の欄にも載っています。
昨年11月15日に市内•桜座で甲州弁をテーマに「よっちゃばって、くっちゃべって、
たのしむじゃん」という催しがやまなし観光推進機構主催で行われたと新聞で読みまし
た。イベントには「キャンユースピーク甲州弁?」の著者もゲスト出演されたそうで
”同機構は「甲州弁を観光資源として見直し、山梨の文化や魅力を再認識する
機会にしてほしい」とPRしている” (2009年10/23付山梨日日新聞)
と書かれていました。
山梨県立大学で甲州弁を取り入れた講義をしておられる秋山教授に関しては、
”秋山教授は「これからは医療や福祉といったケアが不可欠な分野でのコミュニ
ケーションに役立てたり、観光分野でも地域の特色を発信したりするために
方言をもっと活用してほしい」と期待している” (2010年1/7付同新聞)
という記事が「おあんなって甲州弁」の欄に載っていました。
実のところ甲州弁は普段の生活の中で私自身はあまりしゃべりません。標準語のほうが
一般的なので便利だからです。聞く甲州弁は分かりますが話す甲州弁はなかなか出て来
ません。
けれど一方で、方言の持つ一種独特の親密感•あけっぴろげな明るさ、そういうもので
こそより一層リアルに表現出来る昔話のような世界がある事にも気付かされました。
言葉も地域の産物の1つと考えると方言は観光にも関係していると言えるのでしょう。
方言に興味がわいてきました。
山梨昔がたりの会の会員がたの活動に心から拍手を送ります。
(1枚目の写真 ”甲州弁で語るむかしばなし”会場)
(2枚目の写真 パンフレット)
2010年2月17日撮影

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